アスペ美大くん日誌

色々なものを持ってる美大卒のだめにんげん遺言状ブログ

■ T美の“路上のカリスマ”、いざわさんの話

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こんにちは、ヤナーリです。

今回からまた元の路線の美大時代の話に戻りたいと思います。

 

さて当時、同級生にいざわさんという名のビタイくんがいました。

 

本名ではありません。

 

前に同級生のビタイくん連中と学食にいるとき、突然彼が、

 

「おうお前らってケンカしたことあるっちゃか?

俺はよぉ、高校のとき学校の校門でよぉ、学校No.1の不良にガン付けられたことがあってよぉ、そん時ブン殴って負かしてやったことがあったっとよぉ!!

そのケンカん時、顔を殴られた後遺症で片目の下側がちょいと見えねぇんだけどよぉ、まあ負けられないケンカだったから仕方ねっちゃが!!」

 

…という武勇伝を(誰も聞いてないのに)むっちゃ九州弁なまりで言い出し、それを聞いたH君が、「すげえ~~ホーリーランドのいざわまさき(当時ドラマにもなってた格闘漫画のキャラ)みたいでかっけぇ^^」と言ったときから、彼の名がそれになりました。

 

それ以降、とりあえずみんな彼を「T美の“路上のカリスマ”」などと呼んで敬意を表すことにしました。

 

…でこのカリスマも、まぁ色々と妙な特徴のある人で…とにかく感情の起伏が激しくて、先の読めないとこがあるやつでした。

 

例えば彼は思い悩むことがあると、皆で一緒に歩いてる時でも、うつむいて一人で早足で歩いて先へ先へと行ってしまう癖があります。

 

「おい待てよ」と呼び止めるとようやく足を止めるのですが(止めない場合もある)、気づくとまた一人で早足で歩いて先に行ってしまう…その繰り返しです。学校No.1の不良を殴って打ち負かした強豪の割りには、すごく繊細なとこがある人なんです。

 

また彼の作る作品にも妙な特徴があって、例えば彼がハマっているゲームや漫画があると、それに出てくるキャラやアイテムをモチーフとした絵をとにかく画面の端から端まで一杯に、顕微鏡でのぞき込んで描いたかのような細かさでびっちり描き込んでいくという、、、

偏執病か何かの類なのか?と疑ってしまうような、そんな作風でした。

 

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もう一つ印象的だったのが、彼は「ベンゼン」と呼ばれる有機化合物の化学式に異様なまでの関心を寄せており、ある日、彼が唐突に「以下にこのベンゼンという化合物の化学式が優れているか」というレクチャーを何十分にもかけてし出して来た時は…

 

この人やっぱり何かの病気だ

 

と思わず私は確信してしまいました(失礼

 

すると今度は自分独自が産み出したベンゼンロボ」と呼ばれる架空の戦闘ロボが剣や盾などを持って武装している絵を、また画面一杯に描きだしたりと…とことんゴーイングマイウェイなやつでした

 


 

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ある日、そんなカリスマが突然、「M大沢(T美の最寄り駅から数駅離れたとこ)までチャリで行きたいっちゃがっ」と、全く手入れのしてないゲジゲジした眉毛をキクキク動かしながら言い出してきました。

 

…なぜゆえ突然?

 

皆の頭上にクェスチョンマークが浮かびあがります。理由を聞くと、

 

「分からん、とにかくチャリに乗ってそこまで行きたい気分っとよ~~」

 

と目をキラキラ輝かせて、まるで夏休みにチャリに乗って日本一周したいとか言い出す中坊みたいなノリで、そんなことを言い出します。

 

まぁたまには気分転換に遠出してメシでも食うのもいいか…といったノリで、皆でいざわさんに合わせてM大沢までチャリで行くこととなりました。

 

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さてM大沢に着くころにはすっかり日も暮れかけてて、長時間チャリを漕いだこともありみんなお腹がペコペコです。


じゃどっかでメシでも食おっかという話になった時、突然いざわさんが、

 

「食べたくない…」

 

とうつむきながら呟きはじめました。

 

…?

 

どうした?腹でも痛いのか?と他の人が聞いても、「知らん。食べたくないものは食べたくないっちゃ…」等と不機嫌そうに答えます。

 

???

 

全くもって彼の行動原理がよく分かりません。

 

そして彼の意味プー言動にとうとう仲間の一人がキレて、「なんなんだよお前!M大沢でメシ食うって約束だったじゃねぇか!意味わかんねぇよ!」と怒り出しました。

 

そしたらいざわさん、

 

「マジむかつくっちゃが!!マジむかつくっちゃが!!マジむかつくっちゃが!!」

 

と、何かの逆鱗に触れたらしく、唐突にマジむかつくっちゃがを連呼し、ものすごい大癇癪をM大沢の中心でギャーと起こしはじめました。


もうこうなると誰も彼を止められません。

 


 

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ひとまず皆でガ〇トに入って夕ご飯を食べることになりました。

 

いざわさんはメシの間ずーっとうつむき、眉間に皺を寄せてこれ以上にない程マズそう表情でご飯を食べています。と突然ぽつりと、「死にたくなってきた」などと言い出してきました。

 

「死にたくなってきた」

「死にたくなってきた」

「死にたくなってきた」

 

壊れたラジオか何かのように、「死にたくなってきた」のフレーズを繰り返してきます。気まずい雰囲気となり、もう誰も一言も喋りません。


私はと言えば、もう一刻も早くこの生き地獄から抜け出て帰りたい…ただそれだけの思いしかありませんでした。今まで生きてきた中で、あんなにマズいガ〇トの和風ハンバーク定食は食べたことはなかったです。おしまい

 

今回もお読み頂き、ありがとうございました。